親分

ムカシムカシのおはなしよ。

「親分」というと、なにやらヤバめなフンイキですが、いえいえ、昔はどこの学校にもいた、親分肌の豪快な先生のこと。

今日のオハナシは、tom先生が「親分」と呼び尊敬する、昭和・平成の時代を生きた、某センセイのオハナシ。

あるとき、親分が市役所に行った時のこと。本人確認のできるものをと言われ、はたと困りました。今日に限って免許証もサイフもない。市役所へは奥さんに送ってきてもらい、用が済んだら買い物に出た奥さんと落ち合う予定で、車の中にバッグを置いてきてしまいました。「本人が本人だって言ってんだから、これが一番の証明だろう?」と親分ねばりますが、市役所の職員も困り顔。うーん、どうしようかと首をひねった親分にひらめきが!「そうだ、市長呼んで来いよ。アイツは俺の出た高校の2年後輩だから、アイツなら俺が本人だって証明できるぜ」市長を呼んで来い?!前代未聞の申し出に、市役所職員も困り果てた。たまたまその日、市長が出張のため留守だったので、それはムリと説明。親分、納得できないが、問題は片付かない。すると・・・視界の中を通り過ぎる見覚えのある姿。「オッ!アイツアイツ、アイツは俺の〇〇高校時代の教え子だ!アイツなら俺を証明できるぞ!おーい!」と大声で呼んだそうです。呼ばれたのは同じ市役所の別の部署で働いていた人で、確かに親分の教え子でした。呼ばれた本人もビックリですが、親分は〇〇高校でも名物先生で、誰一人知らない生徒がいない存在でしたから、呼ばれて急いで駆け付けたそうです。「俺が俺だってことを、オマエ証明してくれよ!」いやいや親分、そういう問題じゃないでしょ!突っ込みのひとつも入れたくなる場面ですねえ。

でこのあとどうなったか、詳細のやりとりについてはよく覚えてないんだそうですが、なんと申請した証明書は無事発行されたそうです。うーむ、親分おそるべし!市長だろうが何だろうが、後輩が先輩の言うことを聞くのはアタリマエという基本発想がもうぶっ飛んでますね。そしてその話を楽しそうにしてくれる親分。慕う生徒や教員がとても多いのは、言うまでもないでしょう。