土足はダメよ

ムカシムカシのおはなしよ。

tom先生は定時制高校の勤務を始めました。この学校で慢性的に問題になっている(小さな)困りごとの一つに「土足」がありました。上履きをはかずに、土足のまま校舎に入ってきてしまう生徒が多いのです。注意すればだいたいの生徒は上履きにはきかえてくれるのだけれど、みな「メンドくせー!」。なんとか自主的にはきかえてくれる方法はないかな。tom先生は考えた。幸いここの学校は男子校。オレも男だ!これくらいならゆるされるだろう!と勝手に解釈。

夕方。生徒諸君が登校し始めます。いたいた、今日も土足のヨシオ君だ。「おーtomちゃん、おっはよー」「おはよー。ヨシオ君、ダメじゃないか土足で。上履きはきなよ」「メンドくせーよ、いーじゃん」「言うこと聞かないと、オシオキだよ!」tom先生はヨシオ君の背後に素早く回り込み、わきの下に手をつっこむと、やおら全力でくすぐり始めました。ビックリしたのはヨシオ君。不意を突かれてなすすべもなく、みもだえしながらその場にくずれ落ち、笑いが止まらない。

「わかったー!tomちゃんカンベンしてー!ゆーこときくよー!」ふっふっふ、ここで力を抜いたら君が逃げるのはわかっているのだ!「あーっ!わーっ!ぎゃーっ!」夕闇迫る校舎の昇降口にひびきわたる絶叫!ヨシオ君がまったく抵抗できなくなったころ、tom先生も疲れたんでやめました。昇降口付近でのこの光景をまのあたりに見たほかの生徒諸君、はじめは笑っていましたが、実はtom先生の目が笑ってないことに気が付くと、あわてて上履きにはきかえる子が続出します。やったね。みんな、先生の言うことを聞こうね(^_-)-☆